
せっかく育成してきた社員が辞めたいって。
Z世代は、転職なんて当たり前なの?
そんな疑問にお答えします。



こんにちは。もとさえこです。
自身の転職活動と、人事担当者としての経験をもとに発信しています。
近年、働き方に対する価値観の変化により、「Z世代の転職なんて当たり前」という考えが広がっています。
Z世代とは1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代のことで、幼い頃からインターネットやスマートフォンに囲まれた環境で育ってきたためデジタルネイティブとも呼ばれます。
この世代はテクノロジーへの適応力が高く、情報収集力に優れ、多様性を大切にする傾向があります。そのため、従来の働き方に縛られることなく、柔軟なキャリア形成を求める傾向が強いのです。
こうした傾向から、「責任感がない、すぐ休む、働きたくない、残業しない、挨拶しない、謝らない、返事しない」といった見解が生まれることがあります。
しかし、Z世代の働き方を深く理解すれば、単に「できること」「やりたいこと」ではなく合理性や納得感を重視する姿勢があることがわかります。
企業や上司にとっては、フレームを変えることでZ世代を理解することが重要です。
もしZ世代の合理性や柔軟性と先輩層が重んじてきた忍耐力やチームワークの精神を融合させることできれば、多様な視点を活かした新しい働き方が生まれ、世代を超えた調和の取れた職場環境の基盤となるでしょう。
本記事ではZ世代の転職観の本質を探り、異なる世代間で生まれた誤解を解消するためのポイントを詳しく解説していきます。
- Z世代の転職観が生まれた背景と価値観の違い
- 仕事に対するモチベーションと企業に求めるもの
- 責任感や働き方に関する誤解とその本質
- 効果的な指導方法と職場でのコミュニケーションの工夫
Z世代:転職なんて当たり前の価値観は本当か?


- 責任感がないという誤解
- すぐ休む・働きたくないは本音?
- 挨拶しない・謝らない背景とは
- 失敗したくない理由を探る
- 早期退職する理由にある本質
責任感がないという誤解
Z世代に対して「責任感がない」と感じる人は少なくありません。しかしフレームを変えてみると、昔ながらの「無理してでもやりきることが美徳」という考えとは少し異なることが分かります。
多くの場合、Z世代が大切にしているのは、「効率性」と「合理性」、そして「自分の役割への納得感」です。
例えば、上司が「とにかく頑張って最後までやるように」と指示を出したとき、Z世代は「それは本当に今やるべきことか?」と一歩引いて考えます。
こうした信念で働いていると知ると「責任感がない」といったラベルが少しはがれてきませんか。Z世代がどのような価値観で仕事に向き合っているのかを丁寧に見てみましょう。
すぐ休む・働きたくないは本音?
Z世代に対して「すぐに休みたがる」「働きたくないと思っているのではないか」と感じる人もいます。
確かに体調不良やメンタルの不調を理由に休む人が多い印象を受けるかもしれません。しかし、それは「怠けたいから」ではなく、自分の健康や働き方に対して真剣に向き合っている証拠とも言えます。
近年、働き方改革やメンタルヘルスの重要性が広く認識されるようになりました。
Z世代はその価値観の中で育っており、「休むこと=悪いこと」という考えを持っていない人が多数です。
むしろ、自分のコンディションを管理し、ベストな状態で仕事に向き合うために必要な休息を選んでいます。また、Z世代は「チームで成果を出す」という意識が高く長期的な視点で全体を見ているので、自分一人が無理をしても全体の質が落ちるのであれば、冷静に休むことを選びます。
少なくとも、Z世代は「自分を大切にする働き方」にシフトしていると言えるので、「すぐ休む=やる気がない」と決めつけるのは少々乱暴かもしれません。彼らの視点に立てば今後の私たちの働き方全体にとって大きなヒントなのです。
挨拶しない・謝らない背景とは
Z世代に対して「挨拶をしない」「謝らない」「返事がない」といった指摘がされることがありますが、これも一面的な見方かもしれません。こうした行動の背景には、コミュニケーションに対する価値観の違いがあります。
まず、Z世代は幼い頃からSNSやチャットツールに親しんで育ってきました。そのため、リアルな場でのやりとりよりも、テキストベースでのやりとりの方が慣れており、言葉に「空気を読む」ニュアンスを求めすぎる文化には違和感を覚えることがあります。
例えば、「とりあえず挨拶しておこう」「形だけでも謝っておこう」という行動は、Z世代にとってはやや不誠実に感じられることもあるのです。
また、謝罪についても、「自分に明確な非がある場合は謝るが、納得していないのに謝罪することには違和感がある」という考え方を持つ人が多く見られます。これは、正直でありたいという気持ちの表れであり、決して相手を軽んじているわけではありません。
ただ一方で、「伝え方が大切である」「誤解を招く行動は避けるべきである」という点において、改善の余地があるのも事実です。
そのためには、Z世代のコミュニケーションスタイルを尊重しながら、社会人として求められる基本的なマナーについて丁寧に伝えることが必要です。
このように、「態度が悪い」と決めつけてしまわずに、相手の背景や価値観に寄り添って伝えていくと、より良い関係づくりができるようになるでしょう。
失敗したくない理由を探る
Z世代が「失敗を極端に恐れる」と言われる背景には、単なる臆病さでは語れない深い要因があります。
まず考えられるのは、SNSなどの影響です。
Z世代は常に誰かの目にさらされており、失敗が可視化されやすい環境で育ってきました。一度のミスが拡散され、時に過度な批判を浴びるリスクと隣り合わせの中で、「失敗しないこと」が自己防衛につながっているのです。
例えば、新しいプロジェクトに対して「自分にできるかわからないからやりたくない」と消極的に見える行動も、実は「失敗して周囲に迷惑をかけたくない」という責任感から来ているケースが多いのです。
職場で接する側としては、失敗を許容する文化や、チャレンジする姿勢を評価するフィードバックを積極的に伝えることが大切です。それが、Z世代の心を少しずつ開き、成長を後押しする土壌となっていくでしょう。
早期退職する理由にある本質
Z世代が短期間で職場を離れるケースが目立ちますが、その背景は自分の時間や人生をどう使うかを真剣に考えているからこその選択であるようです。
例えば、ある企業に入社したものの、「このまま働き続けても成長が見込めない」といった気づきがあれば、Z世代は迷わずに次の選択肢を探します。
これは昔ながらの「3年は我慢」という考え方よりも、「自分に合った場所を早く見つけて、そこに力を注ぐ」という考え方が主流になってきているのです。
また、Z世代はただ収入を得るために働くのではなく、納得感や社会貢献、自分の成長につながるかどうかといった軸を持っているため、そうでない環境には長くとどまりません。
育成する側として学べるのは、職場がZ世代に対して一方的に「耐えること」を求めるのではなく、どうしてその決断に至ったのかを丁寧に理解することで、より良い職場環境が築けるかもしれません。
Z世代:転職なんて当たり前の時代背景


- 優秀な人材ほど流動的になる理由
- 仕事のモチベーションは何か
- 会社に求めるものの変化とは
- ストレスの原因に見る職場の課題
- Z世代にしてはいけないこととは
- 効果的な指導方法のポイント
優秀な人材ほど流動的になる理由
「優秀な人ほど辞めてしまう」といった声を耳にすることがあります。
それはZ世代の中で「同じ会社に長く勤める=安定」という価値観が希薄になりつつあることで起きている現象です。
Z世代は自分に合った場所、自分の力が発揮できる場所を見極める力があるため、より良い環境があればそこへ移ることをためらいません。これはキャリアに対する主体的な姿勢の表れとも言えるでしょう。
職場としては、「定着してくれること」を目的にするのではなく、「成長実感があるこの会社で働き続けたい」と思ってもらえるような環境や関係性を築くことが大切です。
仕事のモチベーションは何か
Z世代にとって仕事のモチベーションは「お金」や「地位」だけでは測れません。
むしろ、それらは最低限の条件として捉えられていることが多く、「何のために働くのか」という問いに対する答えが明確であるほど意欲が湧いてくるのです。
例えば、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できたり、自分のアイデアが採用されて形になったりすると、Z世代は大きな達成感を覚え、モチベーションの源になります。
一方で上からの一方的な指示だけでは、やる気が薄れてしまいます。なぜなら「自分が理解し共感できること」にこそ動機づけされやすいからです。
言い換えれると自分自身の価値を感じられる場があれば、そこにエネルギーを注ぎたいという非常に健全な志向を持っているのです。
こうした点を踏まえると、上司や同僚とのコミュニケーションでは「仕事の目的や意味を丁寧に共有する」ことが非常に重要で、モチベーション維持につながります。
会社に求めるものの変化とは
これまで多くの世代が企業に対して求めてきたものといえば、「安定性」や「終身雇用」が中心でした。しかし、Z世代にとって会社は“所属する場所”ではなく、“選び続ける場所”として認識されています。
Z世代が企業に期待するのは、まず「柔軟性のある働き方」です。
自分の生活スタイルに合った働き方ができるかどうかは、非常に大きな判断基準となっています。単に自由を求めているのではなく、効率的かつ自律的に働くことが成果につながると理解しているからです。
さらに、企業文化や風土も重視されます。
例えば、風通しの良い職場であるか、意見が言いやすい雰囲気があるかなど、「安心して自分らしくいられる環境」であるかどうかが問われています。これはただ働くためではなく、「長く関わりたい」と思えるかどうかに直結しています。
加えて、社会的な意義も重視されています。環境問題への取り組みやダイバーシティへの姿勢など、企業がどのように社会と向き合っているかをZ世代はしっかりと見ています。
つまり、Z世代が求めているのは「働きやすさ」と「誠実さ」なのです。
ストレスの原因に見る職場の課題
Z世代が職場で感じるストレスの原因の多くは、「人間関係の不透明さ」や「意味の見えない業務」に起因しています。特に、指示があいまいで説明が少ない状況に対しては、大きな不安やストレスを感じやすい傾向があります。
例えば、上司から突然タスクを振られたとき、「なぜ自分がやるのか」「何のためにやるのか」が説明されないままだと、Z世代は不信感を持ってしまいます。Z世代は自己肯定感を保つために、「フィードバック」を必要としています。
前述のように、納得感を大切にする世代であることを忘れてはいけません。
また、「上司や先輩が忙しそうで質問しづらい」という雰囲気もZ世代にとっては大きな壁になります。
これは「迷惑をかけたくない」「ちゃんと理解してから進めたい」という責任感から来る行動である場合が多いのです。
遠慮がちな様子を見て取れたとき、それを「消極的」ととらえるのではなく、サポート体制やフォローのあり方を見直す機会とするべきでしょう。
Z世代にしてはいけないこととは
Z世代と関わる上で最も避けたいのは、「一括りにして決めつけること」です。どの世代にも個人差があるように、Z世代にも多様な考え方や価値観が存在しています。加えて、一方的な指導や感情的な叱責も避けたいポイントです。
例えば、「最近の若い者は辛抱できない」と決めつけたり「なぜそうしなければならないのか」という説明がないまま注意されると、Z世代は納得できずに戸惑い、結果としてモチベーションを失いやすくなるのです。
また、プライベートへの過度な干渉も控えるのが好ましいでしょう。
たとえ良かれと思って聞いたとしても、「仕事とは関係ない部分に踏み込まれている」と感じられると、距離を置かれてしまうことがあります。適度な距離感を保ちつつ、信頼関係を築く姿勢が求められます。
このように、Z世代と良好な関係を築くためには、「相手を個人として尊重する」姿勢が何より大切です。
効果的な指導方法のポイント
Z世代への指導で鍵となるのは、「納得感」と「対話型の関わり」です。
単に「教える」のではなく、なぜその行動が求められるのかを共有し、相手が自分で考えられる余白を持たせることが重要です。
例えば、新しい業務を任せるときは「この業務が会社やお客様にどう影響するのか」「自分の成長につながるポイントは何か」を伝えてあげると、より意欲的に取り組んでくれることがあります。
さらに、Z世代はフィードバックをとても大切にします。褒めるときも、ただ「すごいね」ではなく「ここが特に良かった」と具体的に伝えることで、次へのステップに生かしやすくなります。
逆に改善点を伝える場合も、「こうすればもっと良くなる」と前向きな言葉を添えると受け入れられやすくなります。
また、指導者側のスタンスとしても「完璧である必要はない」と心に留めておくと、より自然に関わることができます。自分の失敗談や悩んだ経験を共有することで、Z世代も安心して本音を話せるようになるでしょう。
効果的な指導とは、押しつけではなく、寄り添いと信頼の上に成り立つものです。Z世代の成長を支える存在になるために、「伝える」よりも「共に考える」姿勢を大切にしたいところです。
【まとめ】Z世代:転職なんて当たり前な時代に見える価値観の変化とは
- 転職に対する心理的ハードルが低くなっている
- 終身雇用や年功序列に価値を見出していない
- キャリア形成は自分の意思で柔軟に選びたいと考えている
- 企業へのロイヤリティよりも自己成長を重視している
- 仕事選びの基準に「やりがい」や「意味」が強く影響している
- 働く環境や人間関係が転職理由として重視されている
- スキルや経験の棚卸しに積極的である
- SNSや口コミで企業の実態をチェックしている
- 働き方に多様性がある企業を選びたがっている
- リモートワークや柔軟な働き方を当たり前と考えている
- 転職を「逃げ」ではなく「選択」として肯定的に捉えている
- 社会的意義や企業のビジョンに共感できるかを重視している



Z世代は自分にとって意味のある仕事を求めています。
一方で、先輩世代が大切にしてきた忍耐力やチームワークの精神も、働く上で欠かせない要素です。
お互いの背景や価値観を尊重し合い、それぞれが持つ強みを融合させることで世代を超えた相乗効果を生み出すことができます。
このブログが、その誰もが心地よく働ける未来へ橋を架ける第一歩になることを願っています。
以上、「Z世代は転職なんて当たり前? 異なる世代間の誤解を解消する方法」でした。